利回り強化のUSDS、ソラナのトレーダーをスカイのステーブルコインに引き寄せる
ソラナブロックチェーンのトレーダーは、分散型金融(DeFi)の競争に新たに加わった最も新しいステーブルコインを急速に受け入れている。このステーブルコイン、USDSはスカイ(Sky、旧MakerDAO)が発行したものだ。
ローンチから1日も経たないうちに、ソラナブロックチェーン上でのUSDSの流通供給量はすでに8900万ドル(約138億円、1ドル155円換算)を超えている。この初日の大規模な供給によって、かつてダイDAIUSDの名称で知られていたこのステーブルコインは、最近参入したほかのステーブルコインであるペイパル(PayPal)のPYUSDを大きく引き離している。開始間もないが、ソラナブロックチェーンで最も急速に成長しているステーブルコインだ。
この急成長は、DeFi業界ではほぼ必然だった。借入・貸出プロトコル、セーブ(Save)の匿名リーダーであるルーター(Rooter)氏は、スカイはトレーダーがUSDSへのスワップを行ったり運用したりするのを促進するために月額200万ドル(約3億1000万円)を費やしていると指摘した。セーブは、USDSの供給者に対して毎月40万ドル相当のUSDSを配布しているという。
ルーター氏は、USDSがこれほど急速に成長したことについて「スカイが大規模なインセンティブを提供しているため、驚きではない」と述べた。
セーブやドリフト(Drift)、カミノ(Kamino)でUSDSを貸し出す人は、スカイによる報酬増強のおかげで得られる20%を超える利回りを狙っている。この利回り強化により、USDSファーミングはソラナブロックチェーン上で最も人気のあるステーブルコインであるUSDコインUSDCUSDと比較しても競争力を持つようになっている。
新しいトークンの発行者がインセンティブ支払いによって資産の初期の普及を促進することは珍しくない。ペイパルのステーブルコインも初期の利回り強化による恩恵を受けた。ルーター氏によれば、そのプログラムには約1000万ドル(約15億5000万円)が費やされたという。
カミノの共同創設者であるマリウス・チュボタリウ(Marius Ciubotariu)氏は、「新しいステーブルコインの導入には今や公式がある。流動性から始め、供給から始め、それから借入を成長させる」と述べた。カミノは流動性提供者と貸し手に毎週数十万ドル相当のUSDSを提供している。
スカイはさらに一歩進んで、トレーダーがワームホール(Wormhole)というトークンブリッジサービスを通じて資金をソラナブロックチェーンに移動することに対してインセンティブを提供しており、それが流通供給量をさらに押し上げている。
利回りを追求してステーブルコインをファーミングするトレーダーは移り気なタイプであり、無料のお金は永遠には続かない。インセンティブが枯渇し始めると、USDSにスワップしたトレーダーはPYUSDの場合と同様に再びUSDコインや他のステーブルコインにスワップし直す可能性があるとルーター氏は指摘した。
「インセンティブが有効な間に浸透させ、ブランドの認知や統合を得ることに尽きる」と同氏は述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Ravi Sharma/Unsplash
|原文:Juiced USDS Yields Woo Solana Traders to Sky’s Stablecoin